拓馬篇前記-実澄11 実澄は青年に出会った時のことを娘に話した。ベランダから転落する少女を助けた、たくましい体つきの若者だったと。弱者の窮地を救ったヒーローだが、本人はその巨躯や怪力を良く思っていないことなども… 実澄 拓馬篇前記
拓馬篇前記-実澄10 実澄は青年の道案内兼、服装の助言を続けた。はじめは他人に怖がられない色選びを主題にした。徐々に普通のコーディネート話へ変容する。実澄は青年の髪がグレーなことから、色相に迷った時に灰色で固め… 実澄 拓馬篇前記
拓馬篇前記-実澄9 雑貨屋での利用料金と商品代はレイコの母が支払った。実澄は自分が代金を負担するつもりだったが、喫茶店でのレイコの飲食費を肩代わりしたことを指摘され、その帳消し案として押し通された。「本当なら… 実澄 拓馬篇前記
拓馬篇前記ー実澄8 実澄がレイコに手作りをすすめたのはレジンアクセサリーだった。雑貨屋では既製品が陳列され、その片隅に曜日限定の体験コーナーが設けてある。そこで特製の樹脂小物を作るつもりだったが──「これ、か… 実澄 拓馬篇前記
拓馬篇前記ー実澄7 実澄たちは一時間近く喫茶店で過ごした。店を出ると外は薄暗くなっていて、街灯がともりはじめる。雪は止みつつあったが寒さは増していた。 青年に抱えられたレイコは寒そうに体をちぢこめている。実澄… 実澄 拓馬篇前記
拓馬篇前記ー実澄6 実澄はレイコの興味から外れた小瓶を手に取る。「どこの親も願掛けはするのかしら。銀くんがその指輪にこめた想いのままの子に育ってくれて、親御さんは喜んでるでしょうね」「そう、ならいいが……私は… 実澄 拓馬篇前記
拓馬篇前記-実澄5 「ね、銀くんの親御さんはどんな人か、聞いていい?」「私を生んだ親……はわからない」 孤児──この質問はまずかったかな、と実澄は後悔した。「だが育ての親……のような方はいる」 青年はそれまでの… 実澄 拓馬篇前記
拓馬篇前記-実澄4 実澄たちのテーブルにようやく飲食物が届いた。さすがに応対する店員は嫌疑をかけてきた少女とは別の人だったが、どこかよそよそしい。やはり一悶着あったために場の雰囲気を悪くしたのだろう。実澄はこ… 実澄 拓馬篇前記
拓馬篇前記ー実澄3 実澄とレイコはそれぞれ注文するものを決めた。実澄が店員を呼ぼうとするとレイコが「おにいちゃんのぶんは?」とさえぎった。「追加で注文できるから、それで選んでもらいましょ」「うん……」 あまり… 実澄 拓馬篇前記
拓馬篇前記ー実澄2 実澄は喫茶店へ歩を進めていたが、青年に抱えられるレイコの足を見るとべつの行き先を思いつく。「靴、買ったほうがいいのかしら」 少女は靴下を履いているが、足をちぢこめていた。毛布代わりにくるま… 実澄 拓馬篇前記
拓馬篇前記-実澄1 寒々しい曇り空を中年の女性が見上げた。天気予報によると降水確率は半々。家を出た時よりも雲は濃くなったように見える。��降ってくる前に帰りましょ) スノーブーツを履いた足を心持ち速くうごかし… 実澄 拓馬篇前記