木瓜咲く: 美弥

拓馬篇-6章◆

美弥とヤマダは銀髪の教師の部屋へ訪れた。美弥はもともと彼の部屋番号を知っており、部屋主の案内がなくとも訪問できた。ヤマダとの話し合いの場はここでも自室でもかまわないのだが、せっかくの機会な…

拓馬 長編拓馬 美弥

拓馬篇-4章◆ ★

美弥の姉──律子はチェーン店での遅まきの夕食を注文し終えた。美弥は姉とともに、同席者の男子と向かい合う状態で、テーブル席に着いている。
 律子は初対面の少年に声をかける。
「おごってあげるけど…

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拓馬篇前記-美弥11

電灯の明かりが必要になってくるころ、美弥たちはデイルとの雑談を切り上げた。きっかけは彼が「もう暗くなってきましたね」と帰宅をすすめたことにある。美弥と彼は同じアパートの住人だ。外が真っ暗で…

拓馬篇前記 美弥

拓馬篇前記-美弥10

部屋主が入れてくれた飲み物はすっかり冷めてしまった。彼は入れなおしを提案したが、そんなぜいたくな申し出は気が引ける。美弥と律子は常温のカフェオレを飲みほした。
 カップを空ければ、べつの飲み…

拓馬篇前記 美弥

拓馬篇前記-美弥9

デイルは黙りこくってしまった。その風貌はさながらロダンの考える人である。口元への手の当て方や当てる手の左右がちがっていても、美弥はそう感じた。
 彼は思考整理の時間を美弥たちに頂戴した。その…

拓馬篇前記 美弥

拓馬篇前記-美弥8

招かれた部屋は美弥の現在の住まいと変わり映えしなかった。同じ建物なのだから当然ではある。だが調度品まで同じだとは思っていなかった。美弥が引越してきた時に備え付けてあったものは、デイルの部屋…

拓馬篇前記 美弥

拓馬篇前記-美弥7

「あ、あの……」
 美弥はぎこちなく声を出した。普段の声量に調整したつもりだが、のどがうまく開かない。スーツの男性は野良猫に夢中なままだ。
 ふたたび声掛けをしようと口を動かす。だがまごついてし…

拓馬篇前記 美弥

拓馬篇前記-美弥6

美弥たちは喫茶店での歓談を惜しみつつ、帰路をたどる。帰宅ルートはなるべく大通りを避けた。この土地は都会ではないので、通行人とあまりすれちがわない道は簡単に見つかった。美弥たち姉妹の警戒心が…

拓馬篇前記 美弥

拓馬篇前記-美弥5

美弥たちがいるテーブル席は四人掛けだった。それゆえ美弥と律子の席には引き続きみちるが座り、通路をはさんだ隣りのテーブルに店長とマヨが着席している。みなが一様にアイス付きのホットケーキをナイ…

拓馬篇前記 美弥

拓馬篇前記-美弥4

「才穎高校ってね、おもしろい子が多いのよ。いま掃除してるマヨちゃんもそこの出身だし」
 マヨと呼ばれた店員はモップを四角いバケツの中に浸している。マヨは手を止めた。ほほえみながら、美弥たちに向…

拓馬篇前記 美弥

拓馬篇前記-美弥3

美弥たち姉妹は律子の知人が所有する店へ訪れた。現在は昼の営業時間が過ぎている。準備中という名の閉店状態だ。帽子とマスクで顔を隠した律子はかまわずに店内へ入った。そうするように知人から言われ…

拓馬篇前記 美弥

拓馬篇前記-美弥2

律子が座卓に空のカップを置く。彼女は美弥とは別種の負の感情をまとっていた。二次被害を受けた妹を、ひたすらにあわれんでいるのだ。律子はとりわけ美弥の刺々しさを気にしている。
「このへんの人たち…

拓馬篇前記 美弥

拓馬篇前記-美弥1

「あ、部屋に入ったみたい」
 美弥は自分の仮宿をかこむブロック塀に身を潜めている。自分が現在住むアパートには、さきほどまでいた人影があった。顔だけを出してみるとその姿が消えている。
「いまのうち…

拓馬篇前記 美弥

お知らせ

25-4-20.旧ブログからの引っ越しリンク公開。目次記事のリンクは未修正。お品書きだけは早々に直します。

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