拓馬篇後記-14 道着に着替えた拓馬は練習場へもどった。着替えおわったことを男性に知らせようかと思ったが、相手方の片付け作業をせかす可能性もあったので、やめておいた。 ほどなくして神南もやってくる。彼女は練… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-13 頭巾の男性は「掃除道具をとってくる」と言って、別行動をとる。拓馬は手持ちの道着を一時保管すべく、練習場へ入る。室内の床にはジョイントマットが一面敷かれていた。今日はマットを外しての床掃除は… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-12 道場の体験会初日から一週間が経過した。その間、シドの予定は軌道に乗った旨がヤマダから告げられた。こまかい報告はしなくていい、と拓馬が釘を刺したせいか、彼女の報告回数はすくなかった。拓馬が借… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-11 呼鈴が響いた。犬の吠える声もした。拓馬は目を開け、なにが起きたのか確かめる。周りは明るい。時計を見れば十五時台。まだ昼間だ。そしてこの場は実家である。��客? だれか出て──) 他力をねが… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-10 体験会の後片付けがおわり、拓馬は帰宅する。家の玄関の戸に鍵がかかっていた。姉は喫茶店の仕事中、両親は昼から出かけると言っていたのを思い出す。��じゃ、トーマはケージの中か) 家にだれもいな… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-9 体験会の初日は無事おわった。参加者たちがぞろぞろと退室していく。大畑と師範はその見送りに外を出る。受付では希望者に入門書の配布もやるそうだ。それらに関わらない拓馬と神南は一足先に清掃に取り… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-8 最終的に、参加者は三十人ほどあつまった。拓馬の予想以上の集客ぶりだ。ただし子どもの付添人もふくむので、実際に門下生候補となるのは全体の半分程度におさまる。そのうちの何人が入門するかはわから… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-7 三人は練習場の片隅にすわった。拓馬はさっそく古馴染みたちの服装選択について問う。「学校の体操服……じゃなくてもよかったんだぞ」 体験会の参加者には服装の指定があった。うごきやすい格好でくる… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-6 拓馬は道場の男子更衣室にて、空手着に着替えた。久々の白い道着だ。これを着るからといってどうという感慨は湧かない。むしろ緊張感が生じた。教わる立場だった自分が教える側に立つことに関心があつま… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-5 拓馬は練習場内のマット敷き、神南が床の雑巾がけを分担する。神南の作業位置は練習場の中央。マット一枚が大きいせいでか、拓馬のマット敷き作業は拭き掃除に追いついてしまう。拓馬はマット敷きを一時… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-4 体験会の第一回めの日曜日。朝八時まえに拓馬は家を出た。目的地は大畑の道場。道場で着替える稽古着はコンパクトにたたんで黒帯でむすび、帯の部分を手にもった。 大畑が提示した集合時刻は八時半。こ… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-3 拓馬は家へもどった。トーマを家へあがらせる際、犬の四つの足をふく。出かけるまえに用意しておいたぬれタオルを使い、肉球の表面と肉球同士のすきまをきれいにした。その作業中に父に「おかえり」と声… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-2 大畑と遭遇した拓馬は朝散歩をこなした。家に帰るまえに、小山田宅へ立ち寄る。当初拓馬が考えていた訪問動機は、傷心の幼馴染に犬を見せること。それだけのつもりだった。大畑の申し出を受けた現状、そ… 拓馬 拓馬篇後記
拓馬篇後記-1 一学期の期末試験がおわった直後の土曜、早朝。拓馬は散歩に出かけた。同伴者は白黒模様の飼い犬。この犬のための外出だ。現在の時分は夏。散歩はすずしい早朝か夜、できればその両方におこなうと決めて… 拓馬 拓馬篇後記