木瓜咲く

2021年3月3日水曜日

習一篇-5章2

習一は外気の熱にうだりながら、黒灰色のシャツを見失わないように歩いた。銀髪の教師は進行方向を見つつも習一を置き去りにしない歩調を保つ。現在の二人は人々の喧騒がはげしい場におり、足音をたより…

習一 長編習一

2021年2月16日火曜日

習一篇-5章1

習一たちは午後も図書館に居続けた。習一は残る五教科の理科と社会科のうち、教科書を持参した政治経済に苦戦する。教科書にない作文の解答を求められてつまづいたのだ。機械的に教科書の説明を抜粋して…

習一 長編習一

2021年2月2日火曜日

習一篇-4章8

習一は喫茶店で腹いっぱいに朝食を食べた。同伴者が栄養不足な習一のため、と言って彼の分の肉とパンが半分ばかし習一に渡り、習一は予想外の食事量を摂らされた。教師が分けてくれた食べものはどれも美…

習一 長編習一

2021年1月1日金曜日

習一篇-4章7

銀髪の教師が飲食店に入る。入店時、ちりんちりんという鈴の音が鳴った。その音は入口の戸の上部から聞こえてくる。習一も店へ入り、戸を見上げてみると、木製の戸の上部に戸当たりがある。戸当たりの棒…

習一 長編習一

2020年12月1日火曜日

習一篇-4章6

「さっきの女の子はどこへ行ったんだ?」
「この町のどこかにいると思います」
 習一を起こしにきた少女はすでに別行動をとっている。予想範囲内のこととはいえ、習一は釈然としない。
「オレとすこし話した…

習一 長編習一

2020年11月20日金曜日

習一篇-4章5

習一が起きたとき、掛布団の上に寝そべっていた。室内はあかるく、日はすでに上がっている。いまは何時だろう、とうつろな目でベッド棚にある置き時計を見たところ、針は七時半を指していた。朝一の授業…

習一 長編習一

2020年11月20日金曜日

習一篇-4章4

4夜に帰宅
 習一は実家に到着した。まずは家門の外から家の様子をさぐる。居間には電灯が点いている。家主はもう帰宅した頃か、妹は学習塾に行っていて家にはいないのだろうか──と習一は家族の所在を考…

習一 長編習一

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25-4-20.旧ブログからの引っ越しリンク公開。目次記事のリンクは未修正。お品書きだけは早々に直します。

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 習一は外気の熱にうだりながら、黒灰色のシャツを見失わないように歩いた。銀髪の教師は進行方向を見つつも習一を置き去りにしない歩調を保つ。現在の二人は人々の喧騒がはげしい場におり、足音をたよりに距離を測るのは無理だ。教師は朝、習一とともに歩いたときの速度を正確に把握したのか、あるい...

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